花見の名所であり、広大な敷地を有する上野公園。その広さなんと東京ドーム11個分!
憩いの場として親しまれ、公園内のカフェのテラス席はいつでも超満員ですが、そんな賑わいと一線を画し、公園の奥にひっそりと佇む日本料理屋「韻松亭」。
今回は150年の歴史を持つ老舗が提供する、目にも美しい絶品ランチ「花籠膳」をご紹介します。
上野公園と韻松亭
時を遡ること150年前。戊辰戦争が終結し、明治維新によって近代化の歩みを進める日本。
明治政府は敗軍の将・徳川家の菩提寺である寛永寺の境内地を没収します。
そして明治5年(1872)に今の防衛省にあたる、国防を司る行政機関・兵部省は寛永寺の敷地を陸軍病院、陸軍墓地にすることを決定。
しかしこれに異を唱えたのが、オランダ人軍医・ボードワン博士です。彼は豊かな上野の山をみて、「学校や病院を建てるのは途方もない謬見である」と大反対。

「謬見」とは、まちがった考えや見解のこと
政府に「近代的な公園にすべき」と提言し、彼の尽力により病院建設の決定を覆します。
これが日本初の公園であり、現在まで続く上野公園の誕生です。

政府は公園を訪れる庶民のために、飲食施設も必要と考え、民間人を選んでいくつかの食事処を造らせます。そのひとつが「韻松亭」です。
上野公園の歴史は韻松亭の歴史。
「韻松亭」は、松尾芭蕉の「花の雲 鐘は上野か 浅草か」と唱えられた、鐘が「松に響く」さまを愛でた、当時の東京国立博物館長・町田久成が名付けたものです。

旧薩摩藩士の町田久成は、慶応元年(1865)にイギリスへ密航留学しており、その中にはサッポロビールをつくった村橋久成もいました。彼の数奇な人生はこちら▼をどうぞ。
お品書きと花籠膳

歴史を感じる趣きある建物。靴をぬいであがります。
ドレスコードは特にありませんが、HPの「女将のちょこっと話」を読むところ、素足の方は靴下を持っていったほうがマナー的によいかと思います。


店員さんが座敷まで案内してくださいますが、これが想像以上に広い。右に曲がり上へあがり左へ…と、行きはよいよい~ではないですが帰りレジへ行くのにちょっと迷いました。

日曜の13時半くらいにつきましたが、予約せず待ち時間なしで座敷へ


高級料亭にでも来たかのような最高の眺め。窓の向こうが緑一色!外の喧騒が嘘みたいに落ち着いた雰囲気。

平日限定でよりリーズナブルな、茶つぼ三段弁当(1690円)もあります。
今回頂いたのは花籠膳 “雪” 。美しくて食べる前からもう美味しい。

よせ豆腐・生湯葉・生麩田楽・海老・里芋・魚・おから煮…etc
お、おいしい…身体に染み渡る美味しさ!

こういうお上品なお料理は、薄味系が多い(それはそれで美味しい)ですが、こちらは素材にしっかり出汁と旨みが凝縮されていて、しいたけや茄子は噛んだ瞬間大洪水。
濃い味とも違う、一品一品が持てる旨みの最大値を引きだしたお味。
品数も多く、意外とボリュームがあるので、お腹いっぱい大満足でした!

お味噌汁はおかわりができます♪
韻松亭へのアクセス
最寄りはJR「上野駅」、公園口より徒歩3分。
上野駅はJRと地下鉄(東京メトロ)が乗り入れていますが、それぞれ改札が独立していて行き来ができないうえ遠い…
ちなみに有名な西郷隆盛像は公園南側に鎮座しています。

韻松亭の近くには、「これ以上落ちない」ことから合格祈願スポットとして人気の上野大佛があります。

韻松亭まとめ

歴史ある老舗で、四季折々の風景を眺めながらのおいしい食事。
上野でランチするならどこと聞かれれば、雰囲気・料理ともにお値段以上の「韻松亭」と全身全霊でおすすめしたい。
神社仏閣に博物館、美術館と見どころ満載の上野散策。ランチはぜひ日常を忘れさせてくれる「韻松亭」で。
東京都台東区上野公園4-59
JR「上野駅」公園口より徒歩3分
昼 11:00~15:00
夜 月~土 17:00~23:00(L.O.21:30)
日・祝日 17:00~22:00(L.O.20:30)
https://www.innsyoutei.jp/