新選組好きが己の力試しに受験する「新選組検定」。
過去問は公式サイトとガイドブックに一部掲載されているのみで、全容は公開されていないため、傾向と対策がわからない!という人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、私が「新選組検定」の2級を一発で合格したときに読んでいた書籍やおすすめ勉強法を過去問を踏まえてご紹介します!

次回開催は未定となっています。開催が決まり次第「新選組検定」公式サイト、公式Twitterでアナウンスされるので要チェック!
新選組検定の難易度は?

履歴書には書けない趣味に全振りした検定ですが、難易度はなかなか高めで、3級でも「ん?」と考えさせられる問題も過去出題されています。
2級になると新選組関連の小説や資料を「ただ読むだけ」では、合格は厳しいと感じます。
テキストに書かれていることのもう一歩先に踏み込むこと、新選組だけでなく周りの関連する人物についても知ることが重要です。
おすすめ書籍&史料まとめ
新選組検定 公式ガイドブック 菊地明

言わずもがな、公式が出版しているテキストです。
基本は本書をベースに出題されるので、網羅すれば5、6割はカバーできます。

巻末に4級1級は10問、3級2級は20問ずつ過去問が掲載されている
最新版が発行されていますが、本文自体は2015年発行版と変わらず、巻末の過去問だけ数問内容が変更になっています。
いっきにわかる新選組 山村竜也

過去に「隊士の死亡日が古い順に並んでいるのはどれ」、「時系列で正しいものはどれ」といった問題が出題されていることから、2級は様々な角度からの時系列を理解していることが必須です。
本書は試衛館時代~土方歳三の死までが順番に記述されていて読みやすく、「新選組の教科書」として基礎と流れを理解するのに最適でした。
おなじ著者の「世界一よくわかる新選組」は、新選組検定参考書として公認されています。
新選組三部作 子母澤寛

- 新選組始末記
- 新選組遺聞
- 新選組物語
新聞記者だった著者が、元隊士や関係者への取材や現地踏査行い、まとめ書き上げた小説。
その後、司馬遼太郎や池波正太郎といった作家に引用される「新選組研究のバイブル」で、原点である「新選組三部作」は要必読!
史実と創作の線引が微妙な作品ではありますが、検定では史実と異なることは「事実ではありませんが、」と前置きをしたうえで、「新選組始末記で…」や「新選組物語では…」といった“この作品ではどうでしたか?”という出題の仕方なので、作品ごと分けて覚えられると完璧です。
新撰組顛末記 永倉新八

77歳まで生き、明治になってからも新選組について語った永倉新八の証言からは、過去多く出題されています。
- 浪士文久報国記事
- 七ケ所手負場所顕ス
- 新撰組顛末記
上2つは本人の記述でとても貴重ですが、解説がついているものが出版されてはいるものの原文で少し読みづらい…
もちろん3冊すべて読み、理解できれば素晴らしいですが、2級を受けるうえでは「新撰組顛末記」のみでも合格点は狙えると思っています。
第2回の過去問では、「新選組顛末記」からなんと7問も出題されています。このとき「浪士文久報国記事」からは2問、今年も1問出題されていますが、他の作品や史料に触れていればカバーできる範囲。
まずは読みやすい「新撰組顛末記」で生の声をインプットしていきましょう!
新縁組隊士録 相川司

新選組を詳しく知るうえで一番役立った、これがなければ合格できなかったといっても過言ではないくらい使い込んだ一冊!
「一歩先に踏み込むことが重要」とお伝えしましたが、まさにその「一歩先」に役立つのが本書です。
隊士520名、ひとりひとりの生い立ちから終焉までが記載されていて、約500ページととても分厚いですが、在隊期間が短い隊士、作品でも触れられない隊士の名前も網羅しています。
すべて読もう!ということではなく、作品や資料を読んでいて名前がでてきたときに、辞書代わりに使うとGood!
入隊順に並んでいるので、何度も辞書を引いていると「この隊士はこの時期に入隊した」というのが自然とはいってきて、時系列問題にも強くなります。
史料の記述を引用している部分も多くあり、師弟関係や隊士同士のつながりなども詳しく説明されています。
2級は当事者の手紙や日記といった「一次資料」からも多く出題されます。本書は「その人物に関連する史料」の一部抜粋(検定の問題になりうる部分)が記載されていることからも、持っていて間違いない一冊です。

一次資料とは、対象とする時代において本人が制作した文書、日記、自伝、その他のオリジナルの情報
一次資料
- 豊玉発句集 土方歳三
- 島田魁日記 島田魁
- 戦友姿絵 中島登
- 秦林親日記 篠原泰之進(秦林親)
- 史談会速記録 篠原泰之進(秦林親)
- 新選組金談一件(三井両替店の記録)
これらは過去問でよく引用される「一次資料」です。
中島登の「戦友姿絵」からは“この隊士は誰?”や“〇〇が手に持っているのは何?”など高確率で出題されています。
過去には新選組隊士以外の人物についても言及する問題がでていることから、すべての絵・名前・文章を一致させておくとよいでしょう。
市立函館博物館デジタルアーカイブで全頁みることができます。
一次資料は貴重であると同時に原文を読むのはなかなか難解…正直わたしも読めていません。そのためムック本や資料館などで購入できる図録から現代語訳されているものを収集してまとめておくことでカバーしていました。

「この史料は、誰が、誰(何)のことを、○○と言っていた」を押さえることがポイント!
ex) 「史料」「誰が」⇛島田魁日記 「誰(何)のこと」⇛第二次二股口の戦い 「○○と言っていた」⇛「蝦夷陸軍の戦い最も烈しき事、これに過ぐるなし」
原文がみたい!という場合は、国立国家図書館デジタルコレクションやデジタルアーカイブで公開されている史料もあるので、ぜひ活用してみてください。
『史談会速記録』は新選組に関係する部分を抜粋して解説してある「新選組証言録 『史談会速記録』が語る真実 著:山村竜也」がわかりやすいのでおすすめです。
豊玉発句集 全41句はこちら▼をご覧ください。
ムック本
毎月新選組関連のムック本がでることはないですが、最新の史料や研究結果などの情報を得られるので要チェック!

・イラストや図解、CG画像がふんだんに使われていてわかりやすい
・個人所蔵や現地に行かないとみられない史料がカラーで掲載されている
ムック本は、「一次資料」に触れられる数少ないツールのひとつでもあります。
今年の2級問題で「残し置く言の葉草」についての出題がありましたが、ムック本に掲載があったことを思い出して正解できました。ありがとうムック本…
【おまけ】フィクション作品

新選組を楽しむのに「史実をもとにしたフィクション作品」は欠かせないですよね。
「新選組検定」においては、できるだけ一次資料に近いものから情報を得たほうが合格への近道だとおもいますが、”楽しい”ことが何より大事!

おすすめ小説は「黒龍の棺(北方謙三)」と「相棒(五十嵐貴久)」!
史実と創作がごちゃごちゃになってしまっては元も子もないですが、今後ひょっとしたら、こんな問題▼がでるとも限らないので…
問101.司馬遼太郎「燃えよ剣」で、土方が大坂の料亭「西昭庵」に滞在した折、お雪がすすめたお菓子はなんでしょう。
「新選組検定」勉強方法
年表をつくる

ただ闇雲に資料や小説を読むだけではもったいない!「年表を自作する」ことで、色々な資料から知り得た情報を整理することが可能です。
誰かがまとめたものではなく、”自作する”のがポイント。記憶の定着と理解度が全く変わってきます。
資料や小説を読みながら、どんどん積み上げてみてください。
検定では、「〇〇が△△△を訪れたのは何日でしょう」や「□□が降伏したのは何日でしょう」などの問題も多く出題されます。「何日にどこを出発して、何日にどこに到着した」など細かく足取りを追えると、時系列問題だけでなく他の問題も広くカバーできます。
近藤勇が本陣を包囲され、新政府軍の要請に従って出頭したのは慶応4年の何月何日だったでしょうか。
追記やメモで補足を書き足ししやすいので、エクセルで作成するのがおすすめ!
写真(絵)・所在地・書簡問題
突然ですが、2級の難易度を覚えていますか?
様々な資料や彼らの足跡を実際に巡っている新選組を親しむ中級レベル
この設定どおり、2級は資料と所在地問題が高確率で出題されます。
・墓、史跡の所在地を押さえる(現在の東京の何区にあるか、現在の町名はなにか…など
・写真(絵)の顔と名前が一致していることは大前提。何を持っていたか、どんなポーズだったかまで覚える

一捻りある問題が多い!
また、近藤・土方らが多摩の人たちとやり取りした手紙の内容から出題されることも多いです。
新選組が西本願寺から不動堂村へ屯所を移転した日は、ある隊士の手紙によって知ることができますが、その手紙を書いたのはだれでしょうか。
「いつ」「誰が」「誰に」「どんな内容をおくったのか」を理解しておくとよいでしょう。
多摩デジタル新選組資料館で、近藤・土方・沖田・永倉の書簡の原本画像が一部みられます。読み下し、現代語訳があるので読みやすい。
隊士の幼名・変名問題
幼名、変名がある隊士は必ずチェックしておきましょう。今年は関連問題も含め、6問も出題されています。
清河八郎の策謀によって幕府は浪士組を結成しましたが、この「清河」は出身地の地名を姓とした変名で、本名ではありません。本来の姓は何と言ったでしょうか。
ex) 下村嗣司(継次・嗣次とも)▶芹沢鴨 近藤芳助▶川村三郎 柴田彦三郎▶海野七五三 佐久間恪次郎▶三浦啓之助

斎藤一は何度も名前を変えているため、その順番まで覚えておこう!
最後に
いくつか過去問を掲載しましたが、自身で調べる過程が大切なのであえて答えはのせていません。その”調べる”を楽しむことができれば、合格への道筋はできているも同然!
・時系列を理解する
・写真・書簡・日記など当事者が残した「一次資料」に多く触れる
・「いつ」「誰が」「誰に」「何と言った(何をした/された)」を押さえる
・所在地・幼名・変名を覚える
あくまで趣味、されど趣味。彼らへの理解を深めると同時に、己の力試しにぜひ高得点を目指して「新選組検定2級」にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。